2011/07/14(木)

グラフィック出身から見た印刷物とWebの違い

最初に入った会社は、「募集職種:グラフィックデザイナー」とありましたが仕事内容は完全にDTPオペレーター寄りでした。そしてその会社でもう吸収できることが無くなったなという時に、グラフィックデザイナーを名乗りたいが為にデザイン事務所に転職しました。
嘘です、スキルアップの為でしたよ!
 
DTPオペレーター、DTPデザイナー、グラフィックデザイナーの違いは人それぞれかもしれませんが、私の中では【DTPオペレーター=DTPデザイナー≒グラフィックデザイナー】という結論に至ったので転職を図ったのでした。
 

DTPオペレーター・DTPデザイナー

主な仕事は写真の切り抜き、レイアウト作業、入稿データを印刷データにするための編集作業。
具体的にはチラシやカタログ等の制作。デザインがほとんど決まっている場合が多いです。
私の場合は営業さんが居たので、クライアントに直接会うことはほぼありませんでした。ごくまれに営業・ディレクターに同行することはありました。
Illustrator、InDesign、Photoshopを扱う技術と制作における知識、あとはセンスが必要。
 

グラフィックデザイナー

デザインを通じて情報を伝える表現手段をグラフィックデザインといいます。
ポスター・新聞や雑誌の広告・書籍や雑誌の表紙・お店の看板等。
たいてい企画段階から制作に携わります。アイディアを絞り出し、社内でブレスト(ブレインストーミング:集団でアイデアを出し合うことによって相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法)、制作、プロモーションの提案なども行ったり。パソコンに向かっているだけが仕事じゃない!という感じでした。が、実際パソコンに向かう時間の長いこと長いこと。世の中のデザイナーさんは100%残業時間の長さに苦しんでいると思います。
 
「インプットがあるから初めてアウトプットがあるでしょぉ!?」とは柳原加奈子談。
というわけで、色々あってわたしはフリーランスの道を歩むことにしました。
 

フリーランス

最初はものすごく仕事が少なかったのですが、地道に実績を積むうちに今では食べて行けるくらいまでになりました。その間いろいろなバイトをしていましたが、グラフィックと一緒にWebデザインも出来たらもっと捗るんじゃないかしらと思い、Webデザイナーのバイトを始めました。
 

紙とWebの違い

はい、前置きが長かったですがここからが本題です。
印刷物ばかりやっていた私は中学時代にメモ帳でhtmlをいじりまくっていた事以外Webに関する知識があまり無く、Webデザインを身につけるのに結構苦労しました。
 

文字の最低ポイント数

印刷物の最低ポイントは6pt。
Webでの最低ポイントは12px。
 
まずここをおさえました。
印刷物は3pt、4ptでも読めないこともないですが、確実に読ませたい文字の限界は6ptでした。3pt4ptを使う場面は例えば、旅行チラシの約款、注釈などの小さい文字ですね。でもお年寄りには全然優しくありませんね!
 
Webは基本的には12px。
Yahoo!のトップページは全部12pt12pxですね!
この文章は14pxになっています。右のプロフィールの文字は12pxです。
ちょっと小さくしたいところは10pxにおさえても、それより下になると読みにくいです。
昔MEMORIZE(アメブロのような日記)が主流だった頃、10px表示が流行っていた気がしますが目が痛いですね。。
(追記:Webの文字単位がptになっていたので修正しました!すいません。。)
 

ページ幅

印刷物は仕上がりサイズによって制作を進めて行きますが、Webはモニターサイズによって見え方が違ってきます。
最初、お客さんが提出してきたラフのままに制作していたら幅1500pxになってとんでもなく怒られました。960pxで制作してくださいと言われそれ以来960pxに設定しています。そんなことも知らないくらいの初心者ぶりでした。
 
でもどうして960pxなのかは教えてもらってないので、調べたらちゃんと裏付けがあるんですね。わからないことはほとんどグーグル先生に聞いていました。
参考:ページの幅960pxを基準にして、設計するグリッドデザイン|コリス
 

文字詰め

Webデザインにおいて細かい字詰めは諦めるしかありません。。「ー」や「。」が文字の先頭に来たら気持ち悪くて仕方ありませんが、Illustratorでは「ウインドウ>書式>段落」のところに「禁則処理」というものがあります。デフォルトではなしになっていますが強い禁則、弱い禁則にすると、この辺りを自動で処理してくれます。
 

解像度350dpi / 72dpi

解像度とはキメの細かさのことです。「dpi」とは1インチの中にピクセル(点)がいくつあるか。72dpiなら72個ということです。
印刷物は350dpiが基本ですが大判ポスターは150dpiだったり250dpiだったりします。
Webは72dpiなので、たまにお客さんがWebの画像を添付してきて「この画像をチラシに使ってください!」と言ってくることがありますが、無理です。72dpiのまま印刷に使うと、モザイク状態になってしまいます。350dpiに変換することも出来ますが、例えば300×300px、解像度72の画像を350dpiにすると実サイズ約2cmになってしまいます。Web上にWebデザインのためのフリーの素材屋さんはたくさんありますが、印刷物の素材はほぼ有料です。
amana images
素材辞典
これらは制作物の予算に組み込まれることがほとんどです。デザイナーが偶然イメージしたような素材を持っていればラッキーですが、予算が無ければこういうものは使えないと思ってください。
 

他にも違いはたくさん

他にもCMYKとRGBの違いだったり、印刷物とWebの違いについての記事は他にもたくさんころがっているのですが、こういった細かいところはあんまり載ってないなぁと思い記事にしてみました。
Webで良いとされるデザインが印刷物にしてみたらまるでダメだったりするので(逆もそう)、センス云々よりも制作上の知識を得ることがまず重要になってくると思います。デザイナーはアーティストではないので、知識がなければ素人っぽいものにしかなりませんね!例えばアイキャッチ画像でチラッと見えている所(DVDジャケット)の文字の組み方ひとつで全部が台無しになってしまうことも。
 
最初に入った会社でまずやったことは、毎朝新聞折り込みチラシをひたすら見ることでした。そのあたりの内容はまた後日書いていきたいと思います!